


富士スピードウェイの新装オープンから、ほぼ1ヶ月半。人気と伝統を誇る富士チャンピオンレースもまた、復活を遂げた。今年は全6戦が予定され、その初戦は4時間耐久レースとして開催された。
2分6秒475をマークしてポールポジションを獲得したのは、40号車柳本文彦と一ッ山敬介がドライブするAS柳本ジーマオIDIトレノ。これにコンマ4秒差で0号車オカヤストシユキ/前嶋秀司/ZTO
TSUJI/中村眞組のSPMウエタケμTMSCトレノが続き、上位はAE111クラス勢が独占。そして、3番手には261号車高野修/橘川佳彦/神部敏昭組の千代田製作所μYHレビン(AE101クラス)がつけることになった。
なお、最も多い台数を集めたN1400クラスのトップは、46号車太田重蔵/吉井豊/溝口司/中沢堅一組のアルテックス&太建μ・EP82が獲得している。
また新設されたN1000クラスには、ヴィッツとマーチK11が2台ずつエントリー。
クラストップタイムは、10号車小西省一/金谷真吾/時松孝太郎/吉田一則組のネッツシュポルトヴィッツがマークした。
予選ではマシンの戦闘力差の順で、ほぼ順当に並ぶこととなったが、スタート時、ならびにレース中に給油できるのは20リッターまで。また、いったんピットに入ったら、給油も含めて3分間停止しなくてはならないため、燃費に優れる小排気量車が給油回数を減らすことができたなら、十分に上位入賞のチャンスはあるものと予想された。
ローリングスタートによってレースは開始され、オープニングラップのうちにトップへと躍り出たのはSPMウエタケμTMSCトレノ。予選を上回るタイムで周回を重ね、AS柳本ジーマオIDIトレノを着実に引き離していく。その差が27秒に達した18周目、燃費の厳しさを訴え、2番手のAS柳本ジーマオIDIトレノが最初にピットイン。一方、トップのSPMウエタケμTMSCトレノは、それから2周後にピットに滑り込んでくる。序盤から大差をつけたことにスタートを担当した前嶋は満足げ。「とにかく行けるところまで行ってくれ、と言われていたから頑張ったよ」と。
その後、3周に渡ってトップを走ったのはアルテックス&太健μ・EP82。予想どおり燃費の良さが武器になりそうなことを明らかにした。
そして、24周目から再びトップに立ったのはSPMウエタケμTMSCトレノ。ドライバーが代わってもなお後続を引き離していった。2度目のピットストップは44周目。それより1周早くピットに入ったAS柳本ジーマオIDIトレノに対して、その段階で1分もの大差をつけていたのだが……。
それから間もなく、SPMウエタケμTMSCトレノのペースが鈍り始める。原因はミッショントラブル。3速ギヤを失ってしまったのだ。差はあっという間に詰まり、61周目にAS柳本ジーマオIDIトレノがトップに浮上する。
その次の周にSPMウエタケμTMSCトレノがピットイン。逆に勢いづいたAS柳本ジーマオIDIトレノは65周目にファステストラップ、2分5秒842を叩き出し、それから2周後に3度目のピットストップを実施する。ちょうどその頃から雨が降ってきたことも、燃費に苦しんでいたAS柳本ジーマオIDIトレノに吉と出た。
AE101勢にトラブルが相次いだこともあり、唯一の対抗馬のペースダウンはAS柳本ジーマオIDIトレノのレース運びを楽にさせた。77周目に先手を取ってタイヤを交換、その間にSPMウエタケμTMSCトレノが再びトップに立つも、87周目に最後のピットストップを行った後はAS柳本ジーマオIDIトレノとの差が1周以上に広がっていた。
そこから焦点は、果たして40号車 AS柳本ジーマオIDIトレノが最後まで給油なしで走れるのかということ。しかし、ベテランの柳本は「回転を抑えて、7000(rpm)シフト」で、これを対処。難なくマシンを4時間後のゴールまで導き、総合優勝を飾ることになった。「久々の富士で、久々優勝!いやぁ、いい気分だよ」と柳本。そして普段はアルテッツァシリーズに挑む若手の一ッ山にとっては、これが嬉しいレース初優勝となった。
2位は0号車 SPMウエタケμTMSCトレノが獲得。最後は5速ギヤも失い、命からがらでのゴールとなった。
トップは終始一騎討ちで争われたのに対し、3番手は目まぐるしく入れ替わっていた。終盤に来て、その座についたのはアルテックス&太健μ・EP82だったものの、その背後には激しく追い上げてくる24号車斉藤昌隆/山口栄光/山口崇/山本俊之組のアネックスμADVAN
AE86(N1600クラス)が。そして、ゴールまで10周を切ったところでアルテックス&太健μ・EP82を抜き去り、そのまま総合3位でフィニッシュを果たすこととなった。
それでも46号車アルテックス&太健μ・EP82はクラス2位に1周の差をつけN1400クラスでの優勝は獲得した。
そして総合5位は、4号車オノタカユキ/マナブ/奥村ヨッチャン組のベクトルWMロードスターが獲得。こちらもクラス優勝を飾っている。
また、N1000クラスでは49号車山口浩昭/菅野良男組の山口商会N東埼玉KTヴィッツが優勝。総合16位で、トップからは10周遅れという結果となった。
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| ポールtoウィンを果たした40号車。スタートでこそ0号車に先行をゆるすが、ベテラン柳本の走りと一ッ山の粘りでトップの差を取り戻し開幕戦を優勝で飾った! |
優勝の40号車柳本文彦/一ッ山敬介組。トラブルを抱えながらも2位に入った0号車オカヤストシユキ/前嶋秀司/ZTO
TSUJI/中村眞組。
終盤追い込んできた24号車斉藤昌隆/山口栄光/山口崇/山本俊之組がクラス優勝で3位となった。 |
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| 予選3位の261号車高野修/橘川佳彦/神部敏昭組 |
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| 予選N1400クラストップの46号車太田重蔵/吉井豊/溝口司/中沢堅一組 |
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| 新設されたN1000クラス、予選トップタイムの10号車小西省一/金谷真吾/時松孝太郎/吉田一則組 |
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| ピットインでは、3分間停止と給油Max20リットルまでと制限される。絶妙のタイミングだったのが優勝を遂げた40号車AS柳本ジーマオIDIトレノ。 |
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| N1000クラス優勝の49号車山口浩昭/菅野良男組 |
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| 総合3位の24号車斉藤昌隆/山口栄光/山口崇/山本俊之組 |
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| 総合5位の4号車オノタカユキ/マナブ/奥村ヨッチャン組 |
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