bestcar第10回「5/8公式テスト夜間走行をふり返る」

【視界の確保はどうなってる!?】

 5月8日に実施されたスーパー耐久夜間走行テスト。このテストは非常に本戦のいいシミュレーションになったのではないか、とベストカーは踏んでいる。

 と、いうのもなんと夜間走行時間帯は雨!! 雨といっても優しい雨ではなくて、大雨という言葉がピッタリな天気。気温も10℃近くまで低下し寒い……。コースはもちろんフルウェット、さらに場所によっては薄い霧も立ちこめるなどかなりキビシイ天候での夜間テストとなった。

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 ドライバーたちにインプレッションを聞いてみると「3月の第1回よりは走りやすかった」との声を多く聞くことができた。コースサイドに出てみても明暗の差がハッキリとしている箇所が多く、これなら安全に走れるだろうと思ったのは事実だ。

 ただ明暗の差で一点気を付けなければならないのは、「暗順応」、「明順応」の対応だ。教習所で習ったならった人も多いと思うが、この言葉がキーになる。

 明順応は朝起きて寝室のカーテンを開けたときの反応。「まぶしぃ!!」と思ったときに一瞬視界が遮られるのが明順応だ。暗順応はその逆で、明るい部屋から真っ暗な映画館に入ったときのような状態。ジワジワと見えてくるのが暗順応だ。

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 一般的には暗順応のほうが目が慣れるのに時間が掛かるといわれている。明順応は数十秒から数分で馴染むのに対し、暗順応は数十分かかるともいわれている(年齢などによっても異なる)。

 コース上に明暗差があることについてはいったいドライバーはどう思っているのか、あるドライバーに聞いてみた。

 「明暗の差は少し気になる部分はありました。とはいえ目に直接光線が入らないようには配慮されているので、まぶしくて見にくいとまでは感じませんでした。

 ただ後続車がたとえばGT3だったりすると、前走車はパッシングライトが眩しくて眩惑することはあるかもしれませんね。そこは慣れもありますけれど、多くのチームが参戦するS耐だから配慮が必要ですね」とのこと。

 今回のスーパー耐久では、眼科医の指導のもと視野検査の受検が推奨されたり、座学による講習がドライバーに対して行われるという。プロばかりではないS耐だけに、安全性への配慮は非常に多くあるようだ。

【やっぱGT3の安定感は段違いだぞ!!】

 実際にテストの様子をお伝えしよう。各クラス、大きなクラッシュなどはなかったが、やはり安定感でいえばST-Xクラスがずば抜けている。大雨だろうが、霧だろうが、抜群の安定感と、圧倒的光量の夜間走行用ライトが闇夜を切り裂く。いやぁ、かっこいい!!

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 そもそもGT3マシンはニュル24時間やル・マンなど、24時間レースへの参戦を前提にしているマシン。標準で夜間走行用ライトも備えているし、夜間走行をすることはクルマのポテンシャルからいえばそこまで難しくはない。

 244号車に乗る24時間への参戦歴も多い田中哲也選手はこう語る。

 「ニュルで走る時って100%の少し手前でセーブしながら走ります。なにが起こるかわからないですしね。

 でも富士は知り尽くしたコース。逆に僕はそこが怖いなって思うことも。ついつい攻めすぎてしまう、そんなミスが起きやすいと思います。安全に速く、一番難しいところですがそれが求められる24時間ですね」。

 知っているからこそ怖い、というのは凄く深いですね。GT3マシンは設計上のアドバンテージも持ちつつ、24時間を戦い抜くだろう。

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 ではST-Xクラス以外のマシンたちはどうだったんだろうか? ST-5クラスのあるドライバーが答えてくれた。

 「正直、なかなかスリリングです。なんか後ろが明るいなと思ったら霧のなかからGT3マシンが飛び出してくる。抜かれるほうとしては後ろも見てないとならないので、すごく神経は使います。

 特にホームストレートなど明るい場所で霧が立ちこめると、照明なのか後続車のライトなのかわからないんですよね。ただ、それはどのチームもイコールコンディションなので頑張ります」。

 やはり速度差についてはかなり神経質になっているようだ。100km/h近い速度差があるわけで、お互いが気をつけないとならない部分はあります。大きなアクシデントが起きないように現場では創意工夫がなされているが、来年以降にもこの悪天候下でのテストの経験が生きるのは間違いない。