bestcar第5回「夜間練習走行参加チームにインタビュー」

 富士スピードウェイは、6月に「富士スーパーテック24時間レース」を実施するが、3月3日に公式テストの一環で夜間のレーシングコースを走る「夜間練習走行」が行われた。

 6月の本番に参戦を予定するチームは、3月もしくは5月の夜間テストに参加することが義務となっており、今回もより実践的なテスト走行が行われたようだ。

 当日は昼間に合計3時間の公式練習が行われた後、19時に車両がコースイン。部分的に投光器などでコースが照らされていたが、もちろん日中のように明るいというわけではない。まさにナイトレースという雰囲気の中、マシンからライトの光がスーッと伸びていく。

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 当日に走行をしたドライバーから実際に感想を聞いてみることに。

【コースの明るさは充分だけれどこれから工夫も必要】

 まずはご本人も海外の24時間レースなどに参戦している、大阪のホンダ系チューニングショップ「ジェイズレーシング」を率いる梅本淳一選手。ST-5クラスのフィットで参戦をする予定だが、海外のサーキットと比較するとどうだろうか?

 「第一印象は”明るい”って思いました。それこそニュルとかドバイなんかより明るくてよく見えるんです。僕の考えとしてはあまりコース自体を明るくするのって反対なんです。

 だってライトをどのように路面を照らすか、というのはそれこそ戦術なんです。ライトの差は勝敗に関係するだからこそ今回の富士のライティングは”充分明るい”と思いました。あれくらいでいいと思います」。

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 続いてST-Xクラス、エンドレスGT-Rに乗る峰尾恭輔監督。GT3マシンだけに少し違いはあるのだろうか?

 「明るさに関しては十勝24時間より明るく思いました。全体として暗いと思うことはそんなにありませんでした。ただST-Xクラスのマシンはヘッドライトをイエローにすることがレギュレーションになっている。

 そうなるとまた見え方が変わってきてしまいます。また速度差があるので、他クラスのクルマのヘッドライトを”あて”にした走行は難しいですね。HIDライトが普及していて皆さんやはり上向きにセットするので、少しばかり眩しさを感じるシーンはありました」。

 やはり峰尾監督も明るいとの評価をしていた。ただし課題もあるという。

 「レクサスコーナー出口の投光器で、イン側からアウト側、つまり車両の後方からライトを照らしているのがミラーに反射して視界が遮られるんです。これならば前方から照らしていただいたほうがいいかもしれません」。

 多くの仕様のクルマが走るスーパー耐久だけに、どのドライバーも安心して走れる最大公約数を求める必要がありそうだ。

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【ドライバーにとって24時間レースとは?】

 せっかくナイトセッションを走ってもらったので、24時間レースへの思いを聞いてみた。まずは梅本選手から。

 「そもそもですよ、なんで10年間も24時間レースがなかったのかと思います。モータースポーツの世界には”なくてはならない”のが24時間レースでしょう。

 24時間レースに出た人、それはドライバーでもメカニックでもですが、必ずレースを続けます。メカニックなんて36時間耐久くらい不眠不休状態なんですけど、やっぱり人を魅了してしまう魅力があるんですね。

 今回富士スピードウェイで24時間が復活するに当たって、やはり継続していってもらいたいなと思います。どうもレースのことばかり考えがちですが、ギャラリーの皆さんにも楽しんでほしい。

 キャンプしたり、アルコール飲んだり、バーベキューしたり、花火したり……。やっぱり規則でガチガチにしないことですよ。十勝だって牛の丸焼きとかしてたものね。それがみんなが楽しい24時間レースの秘訣ではないでしょうか」。

 担当もそう思っていたのだが、やはり24時間レースはギャラリーも楽しめるべき。もちろん安全上の制約はあれど、せっかく24時間もレースがあるのだから瞬きを惜しむようにレースを見続けることはない。気ままに楽しむ、それがモータースポーツ観戦のハードルを下げることにつながるような気もする。続いては峰尾監督。

 「24時間レースってほんとに特別な存在なんです。スタートしたときはライバルでも、ゴールしたときは戦友のような感覚なんですね。それはメカニックも同じ。みんなの協力がないと24時間って走れないですからね。

 富士スピードウェイは首都圏からのアクセスもいいし、ドライバーにとってもここで24時間を走れるというのは光栄なことだと思います。十勝は比較的フラットで暗くてもリズムで走れるんですが、富士は明るくても高低差があるから難しい。

 特にTGRコーナーの飛び込みなんて速度差のあるクルマが多いだけに、ブレーキタイミングもみんな違う。これをナイトセッションでこなすのってなかなか難しい。

 あとは参加型レースで24時間をする意味ですね。プロドライバーも多く参戦しているけれど、あくまでメインはアマチュアの選手。技術的な差はあれど、みんながモータースポーツのルールのもと、24時間という極限レースを戦える。

 視覚からの情報が圧倒的に少なくなるナイトレースでは、相手を信頼することが絶対必要です。プロもアマも関係なく、楽しく、真剣にレースがデキル。こんなに素敵なレースはそうそうないですよ」。

 達成感という部分では大きな魅力がありそうだ。富士スピードウェイでは3月のテストのフィードバックを経て、5月にも、更に本番に近い環境下でのテストをおこなう予定とのこと。安全に、そして楽しめるレース作りは今後も続いていく。

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